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日本宣教論 

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日本宣教論 
 

A5上製/514頁  著者:後藤 牧人(ごとう まきと)   
定価(本体3,500円+税)
ISBN978-4-903748-46-7 C0016  Y3500E




日本宣教論

日本宣教を考えるにあたり、普通は無視されている諸条件を並べ、論じたものです。
日本宣教の論議が深まる一書です。さらに、日本文化のただ中での教会の構築を考えます。
     

日本における福音宣教と教会建設が多大の問題を抱えていることは、福音伝道に従事する者が、日々痛感していることである。  ある任意の日曜を取って見れば、その朝に日本全国で礼拝に集まっている人数は、プロテスタント、カトリック、またそれ以外の教派で「キリスト教」を標榜しているもののすべてを合わせても、14〜15万人を超えることはないのではないだろうか。これは日本の全人口の0.1%を僅かに上回る数にすぎない。

確かに、それぞれの教派の会員数についての公式な報告を合算すれば、日本のクリスチャン人口として約百万という数字が出るだろう。そのうち10万がだいたい毎週の礼拝に出席しており、あとの20〜30万人が時々の出席者、残りはバプテスマは受けているが、いまほとんど出席していないというような人々だろうか。  公式の統計としては会員数があるのみであって、平均出席者の統計というものはない。だから筆者の推定の14〜15万人という数字はもともと正確ではなく、あるいは30万人かも知れない。しかしそうであったとしても、礼拝出席者は日本の人口の0.2%ということになる。これはどちらでもよい、五十歩百歩である。

 いったいどうして、日本宣教はそのような状況のまま推移しているのだろうか。日本全体の伝道者、牧会者が苦労し、努力を重ね、説教にいわば身をすり減らしている。なぜこのような状況から脱出できないのだろうか。  外国の教会で筆者が親しく観察したものと言えば、アメリカと韓国くらいだが、いずれもだいたい神学校で学んだことを忠実にやれば牧会が成立する。キリスト教界には牧師たるものが守って行くべき心得や条項のようなものがある。そうして若い牧師たちは着実にそれをこなして前進している。とくに優れた人材でなくても、それなりの伝道の果実を上げているのが見られるのである。  もちろんそれらの外国の「方策」を日本に直輸入して役立てようとする動きもあり、戦後の50〜60年にわたってそれらが絶えず試みられて来た。しかし、そのいずれもが効果を上げ得ず、定着しなかった。または効果が上がったとしても、それも加えた上でのこのゼロ・コンマ・パーセントの成果なのである。なぜそうなのだろうか、日本は呪われているのだろうか、神は日本を祝福するのを忘れておられるのだろうか。  いや、絶対にそうではないはずである。 このような状況の中で、いままでに数多く日本伝道に対する分析や提言がなされて来た。  筆者はいまそれにもう一つを加えようとしているのであるが、これが果たして日本の伝道に役立ち、ゼロ・コンマ・パーセントの壁を破る助けになるのだろうか。  

恐れをもって、同労の諸兄姉の机下に差し出したいのである。  日本は神から見捨てられていない。必ず祝福されるのである。じつは筆者のひそかな思いは、日本発の伝道論と方策こそは世界が期待しているものだ、ということである。笑われるかも知れないが、世界のキリスト教会はまさに日本発の伝道論とその方策によってさらに祝福されると信じるものである。

 

目次 (上下巻)※右端の数字は、本書の頁を記しました。

上巻 宣教の触媒としての文化 13

はじめに 17   
<戦責問題におけるタブー> 19
*極東国際軍事裁判
<ヒュー・バイアス>25

第一章・日本の周囲の状況 29
A・インドネシア29
B・アヘン戦争 38
C・フィリピン戦争 39
*グーク42
*スペリー艦隊の日本訪問 44
D・インド 44
E・マニフェスト・デスティニー46
<領土拡張> 46
<先住民> 49
*セミノール族    
*テカムゼー
*チェロキー族
<パイオニア精神> 52
F・世界宣教 57
<進歩の概念> 59
<宣教学とマニフェスト・デスティニー> 60

G・リンチ慣習法の禁止 61
第二章・日本国内の状況 65
A・鎖国 65
<キリスト教国の領土的野心>65  
<階級社会とバイパス>74
<市場経済の成立> 77   
<シュリーマンの江戸来訪> 81
<和風> 83
<仮名の発生> 84
<源氏物語> 86

B・日本人の独創性88  
<鋼鉄の鍛造>88
<ジェット・エンジンの開発> 90
<その他の独創的な発明> 91
*CPU    
*トロン
*CVCCエンジン   
*トリニトロン


C・開国 94
D・開戦96
<満州国建設の意味> 97
<ノモンハン事件> 101
<開戦の詔勅と大東亜宣言> 103
<勝算があっての開戦ではない> 105
*海行かば   
*ベネディクトの疑問
E・「きけ、わだつみ」現象 113
F・アメリカ人の無邪気さ 114
<アメリカ文化の偽善と独善> 115

G・日本の戦争責任 116
  <戦争責任論のタブー> 117
<日本有罪論の根拠> 119
<日本の植民地問題> 121
<易姓革命> 127

第三章・天皇制 130
A・天皇機関説 130
B・天皇神人説 132
<近代日本と天皇> 133
C・天皇という呼称134
D・天皇礼拝 135
E・ナチズムとの関係 140


第四章・国家神道イデオロギー144
A・戦時中の日本社会 144
B・歴史上の「神道」 147
<原始神道>149
*琉球神道
*ニソの森
*自然崇拝
<朝鮮半島から由来の神道> 153
<御霊信仰> 156
C・徳川幕府の宗教政策 158
<仏教を国教とする> 158
<徳川時代の神道> 159
<国学の興隆>161
<日本人と儒教> 163

D・明治政府と神道 166
<維新と神社神道> 168
*尊皇攘夷   
*天皇親政と祭政一致
*神仏分離    
*もう一つの分離
*祭神論争

<明治政府の神社政策> 182  
*神社行政
*国教化への抵抗   
*天皇機関説
*神社神道の非宗教性
*浄土真宗10派の抵抗
*死後儀礼のない宗教
*人工宗教としての神道
*D・C・ホルトム    
*国体の本義   
*ホルトムの報告をどう考えるか
*神社神道の成立
*国家と宗教の関係  
*軍国主義体制の10年間

E・水戸藩を中心とする勤皇文書 203
F・政治の道具としての宗教 204

第五章・まとめ 戦責・天皇・神道 211
A・太平洋戦争の歴史的意義 212
B・戦没者の扱い 213
C・宣教学的な所見215

*日本宣教学と戦争問題
*福音メッセージの再確認
*文化と文化の対立   
*井戸垣彰
*日本人と日本文化

第六章・従来のキリスト教と聖書観226
A・キリスト教と文化227
<自己の文化の絶対化>231

B・思想的な単位としてのキリスト教233
C・その時代の文化235
D・旧約聖書の理解 237
E・ガラテヤ書の理解239
F・ケネス・カンツァー 246

 

G・文化は宣教の触媒 250
<宗教改革と西欧社会> 253

*西欧的社会の優越の観念   
*アラブ社会と福音
*民主主義は人類の宝、だが…… H・アメリカ国内の異文化宣教? 264
<アメリカン・インディアン伝道> 264
<米国の黒人キリスト教会> 267
<米国内異文化宣教の評価> 271
I・黒人神学272

下巻 日本的キリスト教会の建設

第七章・日本でも通用するキリスト教 285
A・いままでの日本宣教 285
<西欧的なエートスに包まれた福音> 287
B・触媒としての文化は不完全である289
C・日本的倫理を大切にする 291   
<集団性のエートスを大切にする> 292
<急激な変化を嫌う日本人> 295
<国家を大切にする> 298
D・日本文化の特徴 299
<摂取、消化、発酵> 300
<「教会」は日本社会の夾雑物か> 311  
<日本教と西欧教> 312

第八章・社会と共同体315
A・共同体 316
B・日本社会の二つの共同体 317
C・家族の共同体319
D・職場の共同体320  
*生涯雇用と共同体
*生涯雇用の発生
*臨時雇用と共同体
<組み立てラインからの提案> 325
<生涯雇用の衰退> 327

<自動車の品質> 328
<社会の秩序> 329
E・共同体と価値体系 329
F・日本人と社交331
G・共同体と聖域333
H・習い事の半共同体(師弟関係) 333
I・教会も一つの共同体 335


第九章・二つの共同体からの脱出 337
A・寅さんシリーズ 338
B・日本美術の特質 338
C・孤独の創造 339
D・個人的孤独 342
E・「孤独の創造」のための共同体 344
第十章・日本の宗教 347
A・第一型・冠婚葬祭 347
<仏壇>348  
<檀家制度> 350
<日本的な家族共同体> 351
B・第二型・御利益 352
C・第三型・求道 354
D・綜合型宗教 356
<創価学会> 358

第十一章・アメリカ社会と共同体 361
A・共同体の欠如 362
B・共同体の欠如を補う……個人的なもの 363
<パーティ> 364
C・共同体の欠如を補う……制度的なもの366
<クラブ> 366
<秘密結社(ロッジ)> 367
<教会>368
<ロサンゼルスの東本願寺仏教教会>372

<日蓮宗ハワイ別院> 373  
<アメリカ型教会の移植> 375
第十二章・蓮如の宗教運動377
A・念仏信仰377
<源信> 377
<法然> 380
<親鸞> 381   
<蓮如> 381
B・蓮如の道場 382
C・蓮如道場の意味するもの384
D・日蓮 385
<鎌倉仏教> 387

第十三章・日本のキリスト教会の現状389
A・無教会主義型 391
B・西欧化の先駆者型397
<政教分離> 397
*擬似「政教分離」   <国旗・国歌問題> 408
<日本評価の基準> 408  
<アメリカの実情> 411
<フラー流の手法> 418
C・「学習のための集団」型 420
<稽古ごとの集団> 421  
*武芸
<芸能者の集団>429
*相撲
<祖師を中心とする僧集団> 434  
*牧師と祖師
*学習集団と教会の類似   <恩師と弟子の懐古集団> 443
第十四章・提言、日本的教会 444

A・「先生」と「教会」 444
<先生という呼称> 444
<教会という名称> 457
B・教派問題 458
C・教会員制度、教籍の問題 462
D・祖先祭儀・葬送儀礼 464
E・キリスト教の真理性の主張 466
F・他宗教に対する敬意 468
G・礼拝音楽、讃美 471
<礼拝音楽全般>471
<民衆の讃美>473
H・教会の役職について 484
<各個教会> 484
<教派レベル> 485
<女性の伝道者> 485

I・説教について 486
<自己観照> 489
<ヘブル語の重要性>491
<使用聖書> 492
J・賜物 493
K・家の教会 495
L・教会内の団体 497
M・教会の入り口 499
N・入信の決心 500

おわりに 505
<ローマ・カトリック教会の宣教論について> 505
<日本の将来> 505
<小生のものの見方について> 510
<あとがき> 513