人には誰にも使命がある。すなわちその人の生きる目的であり、命の使い途である。最高の使命は、神がその人になせと命じられたことに従うことである。神はこの天命にかなった生き方をとおして、その人を人類に貢献できる人物へと完成されていく。
天から与えられたその人の命の使い途である召命を職業に摘用すれば、それは天職である。人は自分に与えられた天職をとおして、神の国建設に参加する。
神がその人の仕事を成功に導くか導かないかは、その人の能力、力量、器の大小によらない。天命にいかに忠実であるかどうかだけで決められる。神の御旨に従って行動する者へは、神は神の見えざる手をもって祝福し、導かれる。栄枯盛衰の激しい旧約のイスラエル民族を率いたリーダーの生き様をとおして、天命に立って充実した人生を生きるためにはどのようにしたらよいのかを学ぶことが、本著の目的である。
旧約聖書編の「人とは何か」で書き出した本著において最後の数章である随想編では、著者の実業体験を基に主に従う生き方の要点をまとめてみた。人生とは何か、どう生きたらよいのか、どのように経営し、そのトップたる者はどうあるべきか、リーダーの備えるべき品性、資質は何か、生き甲斐、働き甲斐はどこにあるかなどについて小論した。
いつまでも未知への探究心と求道心を失うことなく、逞しい意志と炎える情熱の中に、勇気と確信をもって生きていくために、本著から真に天命に立った生き方の指針を得ていただきたい。
